コラム

【CAインタビュー】たまたまから始まるキャリアでも、人生には意味がある

投稿日:2022/04/04 更新日:2022/07/22

【CAインタビュー】たまたまから始まるキャリアでも、人生には意味がある

最初に一つだけ誓ったこと

杉原さんはもともとエンジニアをされていたんですよね。その他にもいろいろなキャリア経験をお持ちかと思いますが、どのようにキャリアを歩まれてきたのかお伺いしたいです。

柔軟なキャリアと言えばかっこいいのですが、本当のところは「たまたまそうなった」です。今振り返れば、クランボルツ博士の「Planned Happenstance(計画的偶発性)」理論をそのまま体現しているなと思います。


しかし今の先が見えない時代だからこそ、何があっても柔軟に対応できることが必要だと思っています。変われるのは自分だけだし、変わるか変わらないかを決めるのも自分です。


「この木なんの木気になる木」のソフトウェア開発専門会社に就職しました。でも、コンピューターやITに興味はなく、たまたまアルバイトでもらったワープロが面白いなと思った程度。手書きが当たり前の当時、これが最先端だと勝手に思い、新しいことをやるのもいいなと軽く考えていました。


それに大学卒業後は東京に残るか、実家に帰るか迷っていて、悩まずに済むのは両方に拠点がある会社だと結論に達したとき、この会社があったのです。コネもあり、何の苦労もなく就職することにしました。



そうだったんですか。今の杉原さんを知っていると、かなり意外です…!

いまの人から見れば、本当にいい加減な就職活動です。でもそれでも人生なんとかなっています。結局、自分でどうやって切り開いていくかなのですね。偉そうですが。


ワープロが最先端と思っているくらいなので、コンピューターは入社して始めて知る世界。入社後は案の定、苦労の連続。当時は、社内研修が充実していたとはいえ、「?」の連続でした。


数学が苦手で大学は文学部に進学したのに、そこは0と1の世界。周りは理系の人がほとんど、私のようにプログラムの勉強が初めての人もいましたが、出身を聞けば偏差値の高い学校ばかりで、みな優秀。もうどん底でした。


でも逆に吹っ切れました。理系の人とはスタート地点も違うし、できなくて当然と思えたので、却って仕事ができないとへこむことがなかったです。ただ、分からなくても、できなくても3年は努めようとそれだけは固く決めていました。


働く意味と働き続けること

周りは優秀な方ばかりの中、切り替えてお仕事に向き合われたのですね。職場での人間関係はいかがでしたか?

職場では随分と可愛がってもらいました。当時は男女雇用機会均等法の最初のころだったので、男性ばかりの職場で非常に大切にされ、優しい上司や先輩に囲まれ、苦労したといってもいい思い出ばかりです。


仕事はできなくとも辞めたいと思ったことは一度もありません。人間関係がいいので、素直に一生懸命に働こうと思いました。やはり職場環境は大事ですね。


職場でコンピューターの神と言われていた人が私の指導員になり、指導どころか、苦手なプログラムも「ちょっと待っててね」と言って、あっという間に作ってくれる人でした。楽をしていましたが、分からないものは分からないままです。ずっとできないままかと思うと気持ち的には複雑です。またよく会社を休む人だったので、いざという時はいつもいないので不安な気持ちは大きくなるばかり。


それは不安になりますね。

そんなとき、「どんなに優秀でも来るかこないか分からないヤツより、絶対毎日会社に来るお前の方が、仕事を任せられる。」と上司から言われ、ハっとしました。私には私の役割があったのです。職場で必要とされる自分の存在意義を感じました。


ここからがキャリアのスタートだったといっても過言ではないでしょう。入社して終わりではなく、いかに職場から必要とされる人材になるか。それを示してくれた上司の一言には今でも感謝しています。


また、ITという比較的新しい職種だったので、男女差がなかったのも、キャリアとしてよい選択になりました。女性の主任や課長がいて、お子さんがいる女性もいて、女性でも活躍できる仕事だと励みになりました。


軽い気持ちで就職した私ですが、そうした女性の姿を見て、自分の将来の姿を見みていたのでしょう。頑張れたのもこうした人たちが身近にいてお手本を示してくれたからだと思います。自分で何に気が付くか、何を見るか、それもキャリアの選択です。

仕事の世界の変化

人間関係は良好で、ご自身の職場での役割も明確になったのですね。エンジニアとしてはどんなお仕事をご経験されたのでしょうか?

最初の担当はデータベースのシステムテストでした。


データベースの概念もなく、大型汎用機の意味も分からず、テスト期間は始発の山手線から電車を乗り継いで3時間かけて、テストセンターに通う日々。終電ギリギリまでマシン室にこもりきりでした。よく分からないので、ともかく手順書の通りにマシンを起動させ、先輩が作ってくれたプログラムでテストを繰り返していました。


テストマシンなので、OSは自分でインストール、端末やデバイスも全部自分でつながないといけません。データベースの知識だけでなく、ネットワークやコンピューターシステムの知識が必要でした。当時は何度説明されてもチンプンカンプンだったのですが、後々この経験が役立ちました。


石の上にも三年とはいいますが、テストをやっているうちにプログラムを「S0C4でABEND」させることができるようになりました。バグの発見です。任意のタイミングでデータ投入するのですが、設計部がテストしているにもかかわらず、私がデータ投入するとなぜか「S0C4」でシステムダウンするので、とうとう神の手と言われるようになりました。嬉しかったですね。


神の手ですか!エンジニアとして着実に実力をつけられていったのですね。

次第に顧客折衝や深夜のトラブル対応までするように。データベースなので顧客は大手金融・証券会社です。オンラインは絶対に止められません。朝にはシステムが正常に稼働していなければいけません。


トラブルがある度に帰れなくなるのでウンザリしていましたが、そうした修羅場をくぐり抜け力がつきましたし、顧客先に行けと言われると頼られているような気がして嫌だといいつつ誇らしかったものです。


工程会議、予算会議では自分の意見が通るようになり、設計部と一緒にシステムを設計し、会社の動きも分かり、仕事が面白くなりました。プログラミングは3流以下の実力でしたが、ITにもマネジメント系の仕事があることが分かり、それなら誰にも負けないと自信をもって仕事をしていました。気がつけば3年はとっくの昔に過ぎていました。


プロフェッショナルでありたい

また、杉原さんは様々な資格もお持ちですよね。在職中に取得をされたのでしょうか?

実は、その会社にいる間は基本情報技術者試験にまったく歯が立たず、会社から尻を叩かれていましたが、退社した数年後に、あっさりと「上級システムアドミニストレータ」に1回で合格しました。試験制度が変わりこの名称がなくなったのは寂しいのですが、合格率が10%台の試験で、今でも一目置かれる資格です。


チンプンカンプンのコンピューターだったのに、合格で長年の「分からない」から解放されました。自信を持って仕事をしていましたが、それでもどこかに劣等感があったのでしょう。この成功体験が今の自分を突き動かしています。


試験問題は、あの会社での経験が反映されていたと思っています。不思議なくらいスラスラと解けました。資格がなくても仕事はできると言って会社に反発していた自分が恥ずかしい。それはただの言い訳です。本当にできる人は試験に合格します。そこから、資格試験の大切さを学びました。それが今のキャリアコンサルタントの資格取得にもつながっています。


結局、資格試験は努力の集積なのです。難しい試験ばかりに挑戦しているので、最近は新しい資格がないのですが、毎年何かには挑戦するようにしています。持っている資格は合計20。


特に秘書検定、ビジネス文書検定、サービス接遇検定は1級なので、みなさんに自己PRの書き方や、面接対策などをするうえで仕事に非常に役立っています。秘書検定を受けるときは、ITと一体何の関係があるのかと考えましたが、知識はないよりあった方がいいし、それをどのように活かすかは自分次第です。


メンタルヘルスマネジメントのⅠ種も取得し、組織の在り方・労働環境・人間関係について複合的に考えられるようになりました。


仕事には高度の判断力が必要です。あらゆる局面に対応するためには無駄や関係のない知識はないと思っています。



ありたい姿をサポートする

キャリアコンサルタントの資格を取得されたのはなにかきっかけがあったのでしょうか?

キャリアコンサルタントの国家資格を取ったのも、友人から「こんな講座があるから申込なさい」と説得されて、なんとなくスクールに通いました。


就職支援、相談業務は実地経験が長かったので、この資格がなくても私はできると息巻いていたのですが、カウンセリングや面談のアプローチその背後にある理論に接すると、きちんとした理論に裏付けされた仕事をしなければいけないと思い、キャリアコンサルタントの勉強を一生懸命しました。


このキャリアコンサルタントも最初は落ちこぼれ。自分には向いていないんじゃないかと思いましたが、諦めずに続けたことで2級キャリア技能士にも合格。やはり諦めてはいけないとつくづく思います。


そうだったのですね。これから転職を考えられている方に、メッセージをいただいても良いでしょうか。

私は、すべてなんとなくから始めていますが、状況に応じて、自分ができることを最大限にやってきたことがよかったのだと思います。それが自分の自信になり、ありたい自分の姿がそこに投影されるのです。


立場上、「目標は何ですか」をよく口にしますが、正直目標より、どのような自分でありたいかだと思います。「3年辞めない自分」「必要とされる自分」「分かるようになりたい自分」「ずっと働く自分」「信頼されている自分」。そして「プロフェッショナルとして、高度な知識をもった自分」。


私はたまたま、自分のありたい姿に気が付けましたが、自分一人でありたい姿を見つけることは難しいでしょう。ましてこれから未知の世界に飛び込もうとするのであれば、どんな環境が、どんな人が、どんな仕事や人生が待ち受けているか誰も想像できません。


だからこそ、Planned Happenstanceです。偶然の要素をどのように受け止めて、そしてポジティブなスタンスでいられるかどうかが大事なのです。でも、一人では受け止められなかったり、あまりよくない受け止め方だったり、ポジティブになれなかったり、一人はとかく苦しいものです。だからこそ私達がいるのです。


キャリアコンサルタントとして、一人一人のPlanned Happenstanceを支援したいと思っています。

 

採用をご検討中の企業様

Next Career

専門知識を持つコンサルタントが
貴社の企業理念・採用ニーズを満たす
最適な人材をご紹介します。